交通事故の示談交渉、口約束をしてはいけない理由

交渉術

交通事故の現場で、焦って口約束をすることはトラブルの元です。
口約束にも効力はあります。必ずそれに従わなければいけないということではありませんが、トラブルを避けるためにも、口約束をしてはいけない理由について理解しておきましょう。

この記事がきっと参考になる方

・事故の示談で、口約束の効力はあるの?と疑問がある方
・口約束でした示談の取り消しはできるの?とお困りの方
・口約束の示談はしてもいいの?と思っている方

【交通事故】弁護士法人あまた法律事務所

交通事故は、現場で口約束の示談はしてはいけない理由

交通事故が起きた時、当事者同士で口約束をすることは、トラブルにつながります。当事者同士で口約束の示談をすることはやめましょう。

口約束はトラブルのもと

現場での口約束は、正直に言ってトラブルしかありません

・警察を呼ばない
・口約束をする

これは交通事故対応の2大ミスです。

「あとから保険会社に払って貰えばいいや」というのも危険です。
保険会社も、なんでも支払いできるわけではありません。保険会社の賠償保険は、法律上の損害賠償責任の範囲で支払いをすることができるものです。

仮に、法律上の賠償責任としては10万円のものを「30万円支払いします」と約束してしまっても、保険会社は10万円しか支払いができないということも考えられます。

つまり、当事者間で現場で示談をしてしまうと、保険会社から全額支払いしてもらえず、自己負担が発生する可能性もあるということです。

損害賠償責任の範囲なんて、現場で見てすぐわかるわけがありません。
法律に精通していない人であれば、尚更です。

交通事故は、非日常です。だからこそ、トラブルも生じやすい場面です。
後悔のない処理をするためにも、現場で口約束をすることは絶対に避けましょう。

口約束をしたがる理由

現場で執拗に口約束を迫ってくる人もいると思います。
その理由として考えられるのは

・「自分が全て悪い」と相手に認めさせたという事実を作るため
・警察を呼ばずに終わらせる理由にするため

私が保険会社で勤務していた頃に扱っていた事故でも、
「現場で相手が全部払う、全部悪いと言った」「いや言ってない」
という内容で、かなり揉めました。

まあ、そもそも「全部」とは何の全部?「悪い」とはどこからどこまでについて?と思いませんか。
明確に示談が成立しているとも言えないかもしれませんが、そうした話は少なくとも現場では約束しないでください。

自分が悪くないと思っている人からすると、相手に少しでも非を認めた発言をさせて「この人は何から何まですべて賠償すると約束した」と勝手に脳内変換し、都合の良いように解釈します。

結果、かならずトラブルになります。

相手が口約束をしてこようとしても、保険会社や弁護士に相談してから回答する、と言うようにしましょう。

交通事故の示談、口約束でも法律上の効力はある

法律上は、口約束でも示談は成立します
ですから、その場をおさめようとして適当な口約束をしてしまうことは、非常に危険です。

最近では、スマホでも簡単に録音できるようになっていますから、相手の許可なく勝手に録音されているケースも散見されます・・・。

とはいえ、示談した・しないは双方の言い分が異なり、証拠もないケースが多いため、有効な示談とされない場合もあります。

だって、考えてみてください。車やバイクの修理にいくら金額がかかるかなんて、修理見積を取ってみないとわかりません。
見えない内部損傷があるかもしれません。あとから首や腰に痛みが出るかもしれません。

事故直後に「30日後までに、394,562円を〇〇銀行〇〇支店の〇〇さん名義の口座に振り込みすることで示談します」なんて言う約束はできるわけがないのです。

口約束という行為自体に効力はあるものの、交通事故現場で有効な口約束をすること自体が困難であるとも言えるでしょう。

口約束の取り消しが可能なケース

口約束の内容に誤りがある場合や、詐欺や脅迫があった場合には無効や取り消しを要求することは可能です。

特に、交通事故の直後は気が動転していて、身体の緊張で痛みに気づいていなかったり、車の深部の損害に気づいていないケースが多くあります。

すべての損害を冷静に把握していない事故直後に口約束をしたとしても、損害の全貌が明らかでない以上、口約束の取り消しを主張することができる可能性はあります。

また、現場で高圧的な態度で大声を上げるような方もいらっしゃいます。
半ば脅される様なかたちで何かしらの返答をせざるを得ない状況になるかもしれません。

こうした場合は、脅迫されたということで取り消しを主張できる可能性があります。

念書や覚書のようなサインも絶対にダメ

念書や覚書のようなものにサインしてしまうと、取り消しはかなり難しくなります。

それこそ、示談自体は成立してるものの、保険会社からは全額補償されない、ということになりかねません
(保険会社は示談内容ではなく、法律上の賠償責任額を支払いするため)。

脅迫で書かされたなどの事情がない限り、裁判でも証拠になりますから、サインをする場合は慎重に考える必要があります。

ましてや交通事故のような非日常の場面で、その場でサインすることはトラブルのもとです。

一度落ち着いて判断するためにも、ご自身の加入している保険会社や弁護士に相談するようにしてください。

交通事故の最終示談は、示談書の作成が一番安全

口約束でも示談は成立すると説明しましたが、相手が「そんなこと言っていない」「約束していない」と約束を守ってくれない可能性もあります。

賠償金額や期日などを明記した示談書を作成し、双方の署名・捺印を取り付けるのが一番安全です。

とくに、人身事故の場合は、後日身体の不調が再発したなどとトラブルになる可能性があるため、示談書は取り付けしたほうが良いでしょう。

物損の示談について、お互いの保険会社同士で示談交渉をしている場合は、正式な示談書は省略するケースがあります。保険会社がそれぞれの契約者の意向を確認しているからです。

また、100:0の事故で、加害者側の保険会社と被害者が物損について口頭示談をすることもあります。示談書を作成して書類を郵送したりすると、支払いも遅くなるため、よりスムーズに支払いを進めるためです。

相手の話がコロコロ変わったり、あまり納得していないような様子があるなど、トラブルが見込まれるケースについては、示談書を作成することをお勧めします。

まとめ

交通事故の現場で、口約束の示談をすることはやめましょう
必ずトラブルになります

焦ってしまう場面だからこそ、その場で回答せずに、保険会社や弁護士などの専門家に相談しながら進めることが、スムーズな事故解決のカギになります。
あまた法律事務所
【交通事故】弁護士法人あまた法律事務所

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